
Instagramを開くと、キラキラしたLDKや、おしゃれなキッチンの投稿が目に入ってきます。
雑誌のように整った写真に、たくさんの「いいね」がついていて、
「すごいな」「こんなふうにしたいな」と思って、つい保存してしまうこともあるかもしれません。
でも、見ているうちに、こんな気持ちがわいてくることはありませんか。
「このままのプランで、本当にいいのかな」
「もっとセンスよくしないと、あとで恥ずかしく思うかもしれない」
「せっかく建てるなら、“見せられる家”にしたほうがいいのかも…」
本当は、自分や家族が気持ちよく暮らせる家にしたいだけだったのに、
誰かの投稿を見ているうちに、なんとなく見劣りするような気がしてしまう。
そうやって、自分の感覚や選択に自信が持てなくなっていく。
でも、私たちはInstagramに載せるために家を建てるわけではありません。
「映えるかどうか」よりも、自分たちにとって心地いいかどうか。
それが本当の理想だと思います。
この記事では、SNSをきっかけに生まれる迷いや不安を2つのパターンに分けて整理しながら、
自分らしい家づくりの軸を取り戻すヒントをお伝えします。
自分の家が「見劣りする」ように感じてしまうとき
Instagramで目にする家の写真は、どれもきれいに整っていて、おしゃれで、どこか“完成されている”印象があります。
光の入り方や小物の配置まで計算されていて、まるでモデルルームのように見えることも少なくありません。
そうした投稿を見ているうちに、ふと、こんな気持ちになったことはないでしょうか。
「私の家、ここまで洗練されていないかもしれない」
「こんなにきれいに見せられない気がする」
「この選び方、センスがないと思われるかも…」
まだ建てている途中でも、あるいはこれから家づくりを始める段階でも、
すでに完成してSNSに投稿されている“誰かの家”と比べてしまうと、
自分の選択や進め方に自信が持てなくなってしまうことがあります。
けれども、その投稿の多くは、「映える一瞬」だけを切り取ったものです。
実際の暮らしや、その人が本当に満足している部分は、写真には写っていないことがほとんどです。
それでも、見ている側は“あれが正解”のように錯覚してしまう。
このズレが、静かに自分を苦しめてしまいます。
大切なのは、見た目の完成度ではなく、暮らしの中で感じる快適さや安心感です。
「人に見せられるか」ではなく、「自分が納得して過ごせるか」。
そこに視点を戻してあげることが、不安から抜け出すひとつの方法です。
誰かの“否定”に心が揺れてしまうとき
家づくりに関するSNSの投稿の中には、**「これは絶対にやめたほうがいい」「○○を選んで後悔した」**といった、
強い言い切り方をするものもあります。
そうした投稿に出会ったとき、自分がちょうど採用しようとしていたものだった場合、急に不安になってしまうことがあります。
たとえば、**「食洗機はいらなかった」「床暖房は無駄だった」「この間取りは後悔しかない」**といった声。
どれもその人の体験としては事実なのだと思いますが、読んでいる側としては、
まるで自分も同じように失敗してしまうような気がしてくるのです。
「やっぱりこの設備、やめた方がいいのかな」
「このまま決めたら後悔するかもしれない」
「自分の判断が浅かったのかもしれない」
そんなふうに、もともと欲しかったはずのものさえ、不安で選べなくなってしまう。
けれど、本当にそれが失敗かどうかは、自分の暮らし方や価値観によって変わります。
誰かにとって不要だったものが、あなたにとってはとても便利かもしれないし、
誰かが後悔したプランでも、あなたにとっては快適な選択になることもあります。
“否定的な意見”は、ある意味で目を引く表現です。
だからこそ拡散されやすく、目にする機会も多くなります。
でも、家は自分と家族が毎日を過ごす場所です。
「この人がそうだったから」ではなく、「私たちはどうしたいか」で判断することが、何よりも大切です。
SNSの声に迷ったとき、自分の理想に立ち返る
家づくりの途中で、ふと不安になることがあります。
それは、あなたが真剣に考えているからこそ生まれる感情です。
でも、その不安の多くは、「他人の価値観」を“正解”のように受け取ってしまったことが原因です。
完成されたように見える誰かの家や、断定的な意見に触れたことで、
自分の選択や感覚が揺らいでしまう。
けれど、誰かの投稿に写っていないものが、あなたの暮らしにはたくさんあるはずです。
どんな空気で過ごしたいか、どんな時間を大切にしたいか。
それは、他人には分からないし、投稿には映らないものです。
家づくりは、“見せるための正解”を探す旅ではありません。
“自分たちにとってちょうどいい暮らし”をつくっていく過程です。
迷ったときほど、自分の内側にある「こうしたかった」という感覚を、あらためて見つめてみてください。
そこにしっかりと立ち返ることができれば、
SNSの声に心を揺らされることも、少しずつ減っていくはずです。
家づくりでSNSと上手に付き合うために、覚えておきたいこと
- SNSは「一瞬」を切り取った世界。日常の快適さとは違うことも多い
- 他人の価値観を“正解”と思い込まない
- 強く否定する投稿ほど、冷静に受け止める
- 不安を感じたら、「私はどうしたいか?」をあらためて思い出す
- 家づくりの目的は、「人に見せること」ではなく「自分と家族が心地よく暮らすこと」
最後に
家づくりの途中で、誰かの投稿を見て不安になってしまうことは、決して特別なことではありません。
それは、あなたが真剣に、暮らしのことを考えている証でもあります。
情報に惑わされることがあっても、迷って立ち止まることがあっても、
「自分はどう暮らしたいか」という軸さえ見失わなければ、
その家はきっと、あなたにとって心から満足できる場所になるはずです。
背伸びをしなくても、誰かに認められなくても、
「自分たちにとってちょうどいい暮らし」こそが、いちばんの正解。
そんな思いで、これからの家づくりを進めてもらえたら嬉しいです。