
家の性能はもちろん大切。でも、数字では表せない“心地よさ”や“やすらぎ”も、私たちは同じくらい大切だと考えています。
たとえば、光の入り方。
木のぬくもり。
ふと立ち止まりたくなるような小さな居場所。
そうした空間があるだけで、家にいる時間がもっと豊かに、もっと優しく感じられるようになるんです。
今回は、心と体を整える“居場所”について、私たちがどのように考えて設計しているのかをご紹介します。
1.「居場所」とは、機能ではなく“感覚”でできている
「LDKが何畳あるか」
「収納がどのくらいあるか」
そういった“機能的な快適さ”ももちろん大切ですが、人が本当にくつろげるのは、感覚に合った場所です。
・少し天井が低くて落ち着ける
・外の緑が見えて気持ちがいい
・家族の気配を感じながら、一人でいられる
こうした“なんとなく好き”と思える場所は、図面上だけではわかりにくい。でも確実に、心や体を整えてくれる大事な空間になります。
2.光と風がつくる「心のリズム」
朝日が入るダイニング。
午後のやわらかい光が差し込むリビング。
夕暮れにぼんやりできる窓辺。
自然の光や風を感じられる空間には、人の心を落ち着ける力があります。
私たちは、時間の流れや季節のうつろいを室内で感じられるように、窓の配置や庇の出方を細かく調整します。
また、風の通り道を計画することで、夏場でもエアコンに頼りすぎない暮らしが実現できます。
「五感が満たされる家」は、それだけで大きな癒しになるのです。
3.「なんとなく落ち着く」の正体
「この場所、なんか好き」
「なんとなく落ち着く」
それって実は、設計の力で生まれるものなんです。
・少し奥まったところにある畳スペース
・壁と天井に囲まれたヌック(こもりスペース)
・ちょっと腰掛けられる階段の踊り場
空間のスケール感や素材感、視線の抜けや囲まれ感をバランスよく整えることで、無意識に「ここに居たい」と感じる場所をつくることができます。
こうした場所は、一人になりたいとき、疲れて帰ってきたとき、小さなリセットができる大切な「心の避難所」になります。
4.素材がつくる、やさしい空気感
無垢の木の床や天井、漆喰の壁、天然素材のクロス…。
素材の力は、見た目だけでなく空気感そのものを変えてくれます。
たとえば、冬に素足で歩いたときの床のぬくもり。
ほんのりと感じる木の香り。
音の反響が抑えられて、会話の声がやさしく聞こえる。
こうした五感にやさしい家は、暮らす人のストレスをじわじわ減らしてくれるんです。
見た目のデザインと同じくらい、素材の選び方にもこだわっています。
5.家族の気配と、自分の時間のちょうどいい関係
家族の存在を感じられる距離感と、自分だけの時間を大切にできる空間。
このバランスも、心地よさにとってとても大事です。
・リビングから少し奥まった位置にワークスペースを配置
・寝室の手前に小さな書斎やライブラリーを設ける
・家族が自然にすれ違うように廊下や階段を計画する
完全に仕切らず、でも近すぎない。
「いい距離感」のある間取りが、家族の関係性までも自然に整えてくれます。
【まとめ】
家づくりというと、「断熱」や「耐震」など性能面がクローズアップされがちですが、本当に快適な家はそれだけではつくれません。
「なんとなく落ち着く」
「自然とそこに居たくなる」
「一日の疲れがスーッと抜ける」
そうした、感覚的な“居場所”があることが、心も体も整えてくれる快適な住まいにつながるのです。
私たちは、性能と同じくらい、そうした“感じる快適さ”を大切にしています。
あなたにとっての「ここが好き」と思える空間、一緒につくってみませんか?