
鹿児島県では降灰の影響か、住宅設備を見るためにショールームに行くと浴室暖房乾燥機をススメられたり、設備オプションの中に見つけて採用される方がいらっしゃいます。
結論から言うと、僕は鹿児島県の気候風土、現在の住宅性能を加味すると浴室暖房乾燥機は不要だと考えています。
むしろ無駄に高く、ランニングコストがかかり、効果の薄い設備はないと思っています。
今回はなぜ、住宅設備の中で浴室暖房乾燥機が不要なのかをご紹介したいと思いますので、どうぞごゆっくりご一読ください。
無駄に高い設備費用
浴室暖房乾燥機はその持っている性能に比べて価格が非常に高価な場合が多いです。
浴室暖房乾燥機ができることは、暖房機能、乾燥機能、換気機能、送風機能の大きくこの四つに分類され、それぞれにタイマー機能で時間制御ができたりするものもあったりします。
換気機能は普通の換気扇に当然ついてます。
それ以外の3機能を付けるためにかかる費用は定価で10万円~15万円程度かかります。
住宅設備は定価で買うことはほとんどなくここから多少の減額はありますが、それでも数万円の追加費用が掛かります。
ただでさえ、現在は住宅価格は常に上昇をしていっています。
そんな中で、これほど不要な設備はありません。
もっと言うとこの機能は、置き型の電気ストーブなら1万円、除湿送風機で4万円で購入することができます。
こちらであれば故障しても買い替えるだけで済みますし、不要だったとしても買わなくてもいいですし、買ってしまっても他の部屋で活用ができるので場所に縛られることもありません。
ランニングコストが割高
次に、ランニングコストが割高であることです。
設備を使うにはどうしてもエネルギーを使うことになります。
浴室暖房乾燥機の場合は電気がそのエネルギー源になるのですが、こちらもかなり高額の電気代がかかることになります。
試算すると以下の通り、
■ 各機器の月間電気代比較(1日2時間 × 30日、九州電力料金で試算)
機器 | 消費電力(kW) | 月間消費量(kWh) | 電気代(円)
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浴室暖房乾燥機(暖房) | 1.3 | 78 | 2,324円
浴室暖房乾燥機(乾燥) | 1.2 | 72 | 2,146円
電気ストーブ | 1.0 | 60 | 1,788円
除湿乾燥機(コンプレッサー式)| 0.6 | 36 | 1,073円
※電気料金単価は29.80円/kWh(再エネ賦課金・燃料費調整額含む/2025年6月時点・九州電力)
暖房で500円以上、乾燥に関しては1000円以上もコストが上がっているのが分かります。
もちろん洗濯の頻度によって差額は小さくなりますが、先にも書いたとような導入コストを考えるとわざわざ入れる必要性が小さいと感じます。
共有できない使い方が混在している
お風呂は体を洗い部屋全体が濡れてしまう部屋です。
なので、浴室を使っている間は洗濯ものを干すことはできないということです。
最近の価格高騰で部屋にいろいろな要素を共有させる必要性はありますが、それは同時にそこでいろいろな要素ができることが前提です。
例えば流行のウォークスルークローゼット。
これはウォークインクローゼットの通路部分を廊下と併用することで面積を節約する手法ですが、ウォークインクローゼットに収納物があっても廊下としての機能を失うことはありません。
だからこそ便利に使えて共有することができます。
しかし、お風呂と物干し場は全く共有することができません。
洗濯物を乾かす為に使いたいのに誰かが使っていると干すこともできませんし、誰かがシャワーを浴びたいと思っても洗濯物が欲してあるとシャワーを浴びることもできません。
特に夏の季節などは子供がいたら汗だくで帰ってくるのですぐにでもシャワーを浴びさせたいと思う場面も増えると思いますが、洗濯物があるだけで使えないですし、子供の帰宅時間を考えたら使いづらくそのまま使わなくなったというケースも多く聞きます。
一番はランドリールームorサンルーム
室内の洗濯干し場がどうしても欲しい場合は、結局のところランドリールームやサンルームにすることが一番いいです。
ただし注意点は、家事室として使う場合は絶対にサンルームとして作ってはいけないということです。
サンルームは南面に洗濯干し場を作り、太陽光を取り入れ洗濯物を乾かします。
なので、室内の温度は40度を超えることもよくあり、その中で家事をするのは危険なので、家事(洗濯物をたたむ)などをしたい場合はサンルームではなく、ランドリールームとして作ることをおススメします。
逆に、サンルームを作り窓や壁を高断熱にしている設計もありますが、それだとサンルームの意味が激減してしまい無駄に家全体の断熱性能を悪くしてしまう場合があります。
サンルームを作るならサンルームは無断熱、サッシも無断熱サッシにして、サンルームと前室で断熱境界を作ることがいい設計です。
洗濯干し場で家事まで完結させたければランドリールームで物干し場としてだけ使う場合はサンルームとして作ると考えていれば間違いはないと思います。
合わせて、サンルームには必ず湿度感知型の換気扇を付けて、湿度が上がったら換気をするカビ対策が必要になります。
ランドリールームに関しては、そのまま干しても部屋干しと変わらないので除湿乾燥機を使うようにしましょう。
これでカビ対策と洗濯物の生乾きの防止になります。