理想の間取りが見つからない…と悩む前に。暮らしから逆算する家づくりのすすめ

こんにちは、有村建築設計工房の有村です。
これから家づくりを始める方にとって、「どんな間取りにするか」は一番気になるポイントかもしれません。
SNSで見た素敵な家、住宅展示場の間取り、雑誌のプラン集…。参考にするものはたくさんあります。

でも、こうした資料を見れば見るほど、
「自分たちに合う間取りって何だろう?」
と悩む方が多いのも事実です。

その理由はとてもシンプル。
“間取りから”家づくりを考えているからなんです。

今回は、僕たち設計事務所が大切にしている「暮らし方から逆算する設計」についてお話しします。

間取りに合わせる暮らしは、不自然になる

「まず間取りを見せてください」と打ち合わせで言われることがあります。
でも、図面を見せてから暮らし方を考えるのは、本来の順序としては逆なんです。

間取りから先に考えてしまうと、
図面に合わせて暮らしを調整する
という、本末転倒な状態に陥りがちです。

例えば、広いリビングに憧れて30畳のLDKを確保したけれど、実際に暮らし始めたら落ち着かない空間になってしまった…。
または、SNSで見た「吹き抜けのある家」を真似してみたけれど、光が入りすぎてまぶしい、冷暖房が効きづらいといった悩みに変わってしまった。

こうした“よくある失敗”の多くは、
自分たちの暮らし方をきちんと考えずに間取りを決めてしまったことが原因です。

暮らしを“逆算”する設計とは?

家づくりにおいて、最初に考えるべきなのは「広さ」や「間取り図」ではありません。
まずは、
自分たちがどんな毎日を過ごしているか、どんな暮らしが理想か
を具体的にイメージすることです。

設計者として、僕がよくお客様にお聞きするのはこんなことです。

  • 朝は何時に起きて、家族でどう過ごしていますか?
  • 洗濯や料理など、家事のタイミングや流れはどうですか?
  • 休日はどんな風に過ごしたいですか?
  • 来客は多いですか?誰が、どんなふうに来ますか?
  • 夜の過ごし方は?一人の時間は必要ですか?

暮らしの時間の流れを整理することで、本当に必要な空間や動線が見えてくる。
それが「逆算する設計」の基本なんです。

生活動線と心理的動線、どちらも整える

家を設計するとき、
動線の整理はとても重要なポイントです。
でも動線というと、物理的な「距離」や「最短ルート」にばかり目が行きがちです。

実はそれだけでなく、
**ストレスなく自然に動けるかという“心理的な動線”**も非常に大切なんです。

たとえば洗濯の場合。

洗濯機 → 干す場所 → 収納 → 着替える場所
この一連の流れがスムーズであることが、暮らしの快適さを左右します。

また、小さな子どもがいる場合は、料理をしながら目が届く場所にプレイスペースがあること、
将来的にはその場所が勉強スペースや趣味スペースに変わることも想定しておくと安心です。

「何をする場所か」ではなく、「どう動くか」を考えて間取りを決める。
これが、暮らしから間取りを導く設計の基本です。

図面を描く前に、設計者と話しておきたいこと

設計事務所に依頼するからといって、すべてを丸投げにしてしまうのはもったいないです。
僕たち建築家は、お施主様の“暮らしのストーリー”を聞いて、それを図面に落とし込んでいきます。

だからこそ、間取りを考える前に、
自分たちがどんな暮らしをしているか、どんな暮らしをしたいか
を設計者と共有してほしいのです。

そのために、こんな準備をおすすめします。

  • 家族それぞれの1日の過ごし方を書き出してみる
  • 今の家で感じている不便・不満をリストアップする
  • 「こう暮らせたらいいな」と思うシーンを3つ挙げる(例:週末の朝、夕飯時、子どもとの遊び時間)
  • 家族全員の意見を、一度テーブルに出してみる

この作業があるだけで、設計者からの提案の精度は格段に上がります。

間取り迷子にならないために大切なこと

最近は、SNSやYouTube、AIによる間取り提案ツールなど、情報が簡単に手に入る時代です。
でもその反面、
他人の暮らしと自分たちの暮らしの境界が曖昧になりやすい
のも事実です。

家族構成、働き方、趣味、考え方…すべてが違うのに、
「この間取りが人気だから」「モデルハウスの形に近いから」といった理由で決めてしまうと、
後々の暮らしにミスマッチが起きやすくなります。

大切なのは、「図面」ではなく「暮らし」です。

暮らしを丁寧に言葉にしていけば、
そこに自然と最適な間取りが見えてくるはずです。

まとめ:暮らし方が決まれば、間取りは自然と決まる

僕たち有村建築設計工房では、間取り図を描く前に、必ず「暮らしの話」をたっぷり聞きます。
どんな生活をしたいか、家族がどこにいると心地よいか、ストレスになる動き方は何か。
そうした
暮らしの背景をしっかり聞いてこそ、図面は意味を持つ
と考えているからです。

家づくりは一生に一度のこと。
焦って形にするのではなく、
まずは「自分たちの暮らしを丁寧に見つめること」から始めてみませんか?

僕たちは、図面よりも先に、暮らしの話をじっくり聞く設計事務所です。
「何から始めればいいかわからない」という方も、お気軽にご相談くださいね。

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