
こんにちは、有村建築設計工房の有村です。
僕は鹿児島・姶良市を拠点に、木造住宅を中心とした家づくりを行っています。
設計をするうえで常に大切にしているのが、「五感に寄り添う」こと。
家の快適さや居心地の良さは、見た目や間取りだけでは決まりません。
朝の光の入り方、風が抜ける気持ちよさ、静かな時間を邪魔しない音のコントロール、そして素足で感じる床の質感…。
目に見える部分だけでなく、人が“感じる”要素を丁寧に設計することで、なんとなく落ち着く空間が生まれます。
今回はそんな、五感に配慮した住まいづくりの考え方についてお話しします。
■ 視覚:光と影の設計が心の静けさをつくる
人が空間に入ってまず感じるのは「光」です。
強すぎる光は目を疲れさせ、弱すぎると陰鬱な印象になります。大切なのは、やわらかく、自然に感じられる光の取り入れ方です。
たとえば、
- 朝日が心地よく入る東向きの窓
- 西日の強さを和らげる木格子
- 夜は間接照明で光を壁に反射させ、落ち着いた空間に
時間帯や季節によって光の入り方が変わることも踏まえ、生活リズムと調和する光環境を設計します。
また、色のトーンも重要です。木の色や白い壁のバランスを整えることで、目に優しく、心を落ち着ける空間になります。
■ 聴覚:静けさと、生活音の心地よさを両立
家の中の音も、暮らしの質を左右します。
「静かすぎる空間」は落ち着くようでいて、音が反響して逆に居心地が悪くなることもあります。
そこで、僕たちは音が適度に吸収される素材や配置を意識して設計しています。
たとえば、
- 木材や塗り壁など、音の反響を和らげる自然素材を使う
- 壁や天井の角度を工夫し、生活音が広がりすぎないよう調整する
- 隣家や道路との位置関係を考え、外部音の侵入を最小限に抑える
また、窓の配置や開口部の位置を工夫することで、風の通り道に沿って鳥のさえずりや木々の葉音といった自然音をやさしく室内に取り込むこともできます。
耳に届く音まで意識した設計は、日々の生活に静かな安心感をもたらします。
■ 触覚:素足でわかる素材の心地よさ
住まいの中で、無意識に「触れている」時間が長いのが床や壁、手すりなどです。
その触感は、想像以上に人の感情に影響します。
たとえば、
- 無垢材の床は季節を問わず、足裏にやさしく馴染む
- 壁に左官材を使えば、手に触れたときの温かみや質感が違う
- 天井に木を使うと、空間全体が柔らかく落ち着いた雰囲気になる
特に鹿児島のように気温や湿度の差が大きい地域では、調湿性のある自然素材が快適さに直結します。
素材の選び方ひとつで、「触れて気持ちいい」空間がつくれるのです。
■ 味覚・嗅覚:暮らしの場としての心地よさ
五感の中で、設計と少し距離があるように思える「味覚」や「嗅覚」。
ですが、暮らしの質を上げるために見逃せない感覚でもあります。
例えばキッチン。調理中の香りがこもらないように、風の通り道を意識して設計することで、空気がよどまず、食の時間がより快適になります。
また、食卓とキッチンの距離や動線を整えることで、できたての料理をすぐ運べる、家族が自然に集まる空間になります。
人工的な芳香剤ではなく、木の香りや料理の香りがほんのり漂うような家。
そんな「香りの設計」も、目には見えないけれど、確かな居心地の良さを支えてくれます。
■ 五感を大切にした家は、心にも残る
毎日過ごす家だからこそ、「なんとなく心地いい」と思える空間は大切です。
その“なんとなく”の正体が、五感にやさしく寄り添う設計なのだと、僕は考えています。
見た目の美しさやスペックだけでなく、暮らしの肌感覚に合った家。
それが、長く愛され、家族の記憶に残る住まいになります。
【まとめ】
- 快適な住まいは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚にやさしい
- 光の取り入れ方、音の広がり方、素材の質感まで丁寧に設計
- 鹿児島の自然や風土を活かすことで、より感覚に合った住まいに
- 五感を整えた家は、住む人の心にも深く残る
「この家、なんか好き」。
そう感じてもらえる家づくりを、僕たちは目指しています。
鹿児島で、五感にフィットする家を建てたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
暮らしの中の“感覚的な心地よさ”まで、大切にした住まいをご提案いたします。