
多くの人がバルコニーの有無で迷う理由
家づくりの打ち合わせをしていると、最近よく出てくる質問があります。
それが 「バルコニーって必要ですか?」 というもの。
ひと昔前は 「新築にはバルコニーがついているのが当たり前」 という感覚が強かったのですが、今は 「つけない」という選択肢 も広がっています。
理由はさまざま。
洗濯のライフスタイルの変化、メンテナンス意識の高まり、防水リスクを避けたいという声、コスト意識の変化などが背景にあります。
特に 鹿児島では火山灰の影響 も意識する方が多く、ますます判断が難しくなっています。
この記事では、今なぜバルコニーを 「つける or つけない」で迷う人が増えているのかの背景 と、家づくり・注文住宅で後悔しない選択をするための考え方をご紹介します。
バルコニーが必要な人・不要な人
では、どんな家庭にバルコニーが向いていて、どんな場合になくても困らないのでしょうか。ライフスタイルや家づくりの条件から、バルコニーの 必要・不要の判断基準 を見てみましょう。
バルコニーがあった方が良いケース
- 布団や大型の洗濯物を頻繁に天日干ししたい人
- 屋外でのくつろぎや趣味を楽しみたい人
- 敷地に庭が取れず外空間が欲しい人
- 住まいの採光・通風を確保したい人
- 外観デザインにアクセントが欲しい人
バルコニーを設置しなくても良いケース
- 洗濯物は室内干しが中心の人
- 十分な広さの庭や室内干しスペースがある人
- 住宅密集地などでバルコニーのプライバシーや採光が確保できない人
- 建築コストやコスパを最優先する人
- シンプルでモダンな外観デザインを好む人
バルコニーのメリット・デメリット
バルコニーの主なメリット
- 洗濯物や寝具を太陽光で干せる
- ちょっとした屋外空間になる
- 日よけ・雨よけとして機能する
- エアコン室外機や収納の設置場所になる
- 非常時の避難経路になる
- 建物の意匠性を高める
バルコニーを設けることのデメリット
- 日々の掃除の手間がかかる
- 建築コスト・メンテナンスコストが増える
- 使わないと無駄になる
- 防犯面で弱点になりうる
- 気候や周辺環境の影響を受ける
設計段階で考えるべきこと
将来のライフスタイル変化を見据える
現在の生活だけで判断せず、将来のライフスタイルも考慮 しましょう。
家は長い人生の拠点です。ライフステージの変化に伴ってバルコニーの使い道が増えたり減ったりすることを見越して、柔軟に計画することが重要です。
今はいらないが将来欲しくなるかも、という場合は、将来増設できる構造にしておく、あるいは小さめのバルコニーに留めて様子を見るといった対応も考えられます。
代替案やメンテナンス性も含めて検討する
バルコニーを作らない選択をするなら、物干しの代替案 をあらかじめ組み込んでおく必要があります。
室内干しスペースや換気乾燥機付きの浴室、サンルームの設置など、雨天や火山灰の日でも安心して洗濯物を干せる場を設計に盛り込んでください。
またバルコニーを設ける場合は、お手入れや安全性に配慮した設計 にすることが大事です。
例えばバルコニーに水栓(蛇口)を付けておけば掃除が格段に楽になりますし、床に十分な勾配と排水口を設けて排水性能を高めておけば雨漏りリスクも減らせます。
手すりの高さや目隠しパネルのデザインにも配慮し、プライバシー確保と風通しのバランスを考えましょう。
小さなお子様がいるご家庭では、転落防止策として手すり高さを高めにしたり、椅子や踏み台代わりになる物を置かないルールを決めておくことも大切です。
敷地環境やデザインとのバランスを考える
バルコニーの要不要は 敷地の環境や家全体のデザイン計画 とも関わっています。
鹿児島のように気候上バルコニーが汚れやすい地域では、半屋根付きのインナーバルコニーにして汚れにくくする、あるいは思い切って設けない代わりに軒(のき)を深く出して日除け雨除けとするなど工夫が考えられます。
一方、南側に眺望が開けた好立地であれば、その景色を楽しむためのバルコニーを設ける価値は高いでしょう。
周辺の住宅との位置関係を見て、バルコニーを付けた場合と付けなかった場合の外観の印象や使い勝手 をシミュレーションしてみてください。
外観デザイン上も、バルコニーが無い場合は壁面に凹凸が少なくなるぶん窓の配置や外壁の素材感で変化を付ける、といったトータルコーディネートが必要です。
逆にバルコニーを付ける場合は建物正面のバランスやボリュームを左右しますから、配置箇所や大きさにも注意が必要です。
建築士と相談しながら、敷地環境とデザイン性、双方にとってベストな計画を一緒に考えていきましょう。
まとめ
バルコニーを付けるかどうかは 正解が一つではないテーマ です。
必要か不要かは各家庭の生活スタイル、敷地条件、価値観によって変わります。
本記事で挙げたメリット・デメリットやケース別のポイントを参考に、ぜひご家族でじっくり話し合ってみてください。
メリットが自分たちの暮らしに活きそうなら前向きに検討すべきですし、デメリットの方が大きいと感じるなら無理に取り入れる必要はありません。
私たち 鹿児島の注文住宅の設計事務所 としても、「バルコニーありき」ではなくお客様一人ひとりの暮らしに本当に必要かどうかを一緒に考えるように心掛けています。
最終的には 「その家族にとってベストな選択か」 が何より大切です。
バルコニーを付ける場合も付けない場合も、後悔のないよう設計段階で十分に検討し、プロの知見も活かしながら理想の住まいを形にしていきましょう。
あなたの 家づくり が満足いくものになりますよう、専門家として全力でサポートいたします。