
こんにちは。有村建築設計工房の有村です。
家づくりを考えるとき、誰もが一度は迷うのが「平屋にするか、二階建てにするか」という選択ではないでしょうか。
どちらにも魅力がありますし、土地の条件や家族構成、将来の暮らし方によっても答えは変わってきます。
今回は、設計事務所としてさまざまな住まいを設計してきた立場から、平屋と二階建て、それぞれの特徴と向いているライフスタイルについてお話しします。
平屋の魅力と向いている暮らし方
1. ワンフロアで完結する暮らしのラクさ
平屋最大の魅力は、階段がなく生活のすべてがワンフロアで完結することです。
毎日の家事や移動もラクで、小さなお子さんがいるご家庭や、将来を見据えてバリアフリーな住まいを望む方にとっては大きなメリットです。
掃除もしやすく、室内での動線がシンプルになるため、生活のストレスが少ない家になるという声も多くいただきます。
2. 外とのつながりを感じやすい
リビングから庭へ、寝室からテラスへ——
平屋は地面との距離が近く、外との関係を大切にした設計がしやすいのも特長です。
特に自然豊かな鹿児島では、庭の緑や風を取り込むような平屋がとても心地よく暮らせます。
軒を深く設けたり、ウッドデッキで内外をゆるやかにつないだりと、“自然とともに暮らす”設計に向いています。
3. 耐震性・メンテナンス性も魅力
二階建てに比べて構造がシンプルな分、耐震性が高く、構造的な安心感があるのも平屋の良さです。
また、高所作業が少ないため、屋根や外壁のメンテナンスも行いやすく、将来的な負担が少ないという点も見逃せません。
二階建ての魅力と向いている暮らし方
1. コンパクトな敷地でも広さを確保できる
平屋を建てようとすると、どうしても広めの敷地が必要になります。
一方で二階建てなら、限られた土地でも床面積を確保できるため、都市部や住宅地での計画に向いています。
鹿児島でも宅地の形状によっては、二階建てを選択することで庭や駐車スペースを広くとれるなど、全体のバランスが良くなることもあります。
2. 家族の距離感を調整しやすい
二階建てでは、生活のゾーン分けがしやすいのもポイントです。
たとえば、1階にLDKと水回り、2階に寝室や子ども部屋を配置することで、プライベートと共有スペースを明確に分けられます。
子どもが思春期を迎えたときの“ちょうどいい距離感”や、来客があったときの対応など、家族構成が変化する中での柔軟性があります。
3. 眺望や採光を取り入れやすい
周囲に家が建ち並んでいる場合、2階からの方が採光や風通しが良くなることもあります。
また、敷地によっては桜島や海が見えるロケーションもあり、眺望を活かした設計を考えると、二階建ての選択肢が活きてきます。
2階リビングというプランも、こうした敷地の特性を生かす方法の一つです。
比較表で見る「平屋 vs 二階建て」
視点 | 平屋 | 二階建て |
---|---|---|
動線 | ワンフロアで移動がラク | ゾーニングしやすいが階段移動あり |
敷地条件 | ゆとりのある土地に向く | 狭小地でも対応可能 |
家族の距離感 | 常に近くにいられる | プライベート空間を分けやすい |
メンテナンス性 | 高所作業が少なく管理しやすい | 屋根や外壁の点検はやや手間 |
建築コスト | 構造がシンプルで抑えやすい傾向 | 施工内容によってはコスト増も |
開放感・庭とのつながり | 地面との近さを活かせる | 眺望を活かした設計ができる |
決め手は「今」だけでなく「将来の暮らし方」
家づくりを考えるとき、多くの人は「今の暮らしや家族構成」を基準に間取りや広さを決めようとします。
しかし家は、一度建てたら何十年と住み続けるもの。将来の暮らし方まで見据えて計画することが、後悔しない家づくりの重要なポイントです。
たとえば、今は子育て真っ最中でも、10年後には子どもたちが独立して、夫婦だけの生活に戻るかもしれません。
あるいは、ご両親との同居や介護、在宅ワークの導入、趣味の部屋が必要になるなど、ライフステージによって住まいに求める機能は確実に変化します。
また、加齢による体力の変化や生活リズムの変化も考える必要があります。
今は何ともない階段の上り下りが、将来の負担になることもありえます。
逆に、今は2階に子ども部屋が必要でも、将来的には趣味や収納に活用できる空間へと変化していく可能性もあるでしょう。
こうした変化を前提にして考えることで、「どんな構造が将来にわたって柔軟に対応できるか」「リフォームを前提とした設計にするか」といった視点が生まれてきます。
今の暮らしにぴったりな家ではなく、これからの暮らしに寄り添い続けてくれる家。
それを見つけることが、本当に“いい家”をつくるということではないでしょうか。
設計事務所だからできる「第三の答え」もある
最近では、「平屋+ロフト」や「1.5階建て」など、中間的なプランも注目されています。
建物の高さを抑えつつ、収納や趣味スペースとしての柔軟性を持たせたり、敷地に合わせた個性的な住まいに仕上げることも可能です。
土地やご家族のご要望に応じて、柔軟な提案ができるのが、僕たち設計事務所の強みです。
まとめ|暮らし方から「建て方」を選ぶ
最後に、もう一度ポイントを整理します。
- 平屋はシンプルな暮らし・将来の安心感・自然とのつながりを重視する人に向いている
- 二階建ては土地を有効活用したい人・家族の距離感を調整したい人・眺望や採光を取り入れたい人に向いている
- 決め手は、間取りではなく「暮らし方」にある
- 中間的な選択肢(平屋+ロフトなど)も検討してみる価値あり
家づくりに正解はありません。
あなたの暮らしにとって何が大切かを一緒に考え、土地やご要望に合わせた最適な形をご提案するのが、僕たちの役目です。
もし今、「平屋と二階建て、どっちにしよう…」と悩んでいたら、どうぞお気軽にご相談ください。
暮らしのイメージを一緒に描いていきましょう。