構造への想い

僕の建築業界の人生は木造住宅の骨組みを加工する為の設計図を書く事から始まりました。
それからデザインを学び、建物の詳細設計を学び、現場監督を経験して今があります。
このような現場から建物の中身、そしてデザインをすべて経験している建築士は僕の周りにはほぼおらずとても稀有な存在だと思っており、個性だと思っています。

そんな僕の建築の始まりは構造から始まっているのでこう構造に対する気持ちは他の設計事務所と比べてもこだわりは強い方です。

昨今の様々な設計を見てもほとんどの場合、きちんと構造を検討された上での建物の設計がなされていないと感じており、実際に住宅においてはなされておりません。
法律で定められているのは簡単な壁量検討と言われる外からの力に耐えられる壁がどれくらい入っていて、バランスがどうなっているかを見ているだけです。
とてもじゃありませんが、これは構造設計をしているとは言えません。

この状況の中、最近では耐震等級3が標準仕様として謳っている会社さんも出てきましたがその耐震等級でさえ、計算と言う計算はおこなっていないのが現状です。

有村建築設計工房のブログでも何回か耐震制度についてはお伝えしてきましたし、耐震等級3を獲得した方がいいとお伝えしてきました。
これは今でも変わりません。

全部の建物は絶対に耐震等級3を取らないけないのかと言うと僕はそれも違うと思っているのです。

何度もお伝えしてきているのは計算をされないで構造設計がなされている現状です。
国の準備した指針に基づいてこんな風に作っていたら耐震等級3を取れますというものを使って多くの場合、耐震設計をおこないます。

注文住宅において同じ間取りで同じ形状の家と言う事はほぼあり得ません。
間取りも形状も違うという事は、構造の基本である基礎の形、柱の位置、梁の位置大きさもすべて違うという事です。

なのに指針頼りになっているのは絶対におかしいという考えです。

有村建築設計工房ではこの指針に基づいて僕が設計、デザインさせて頂いた建物は構造計算をさせて頂いております。
構造計算の中でも許容応力度計算という計算方法を使って建物の地震に対する強さを指針に基づく感覚ではなく数字としてキチンと算出しています。
法律に基づいた一定の地震への強度を確保したと言えます。

有村建築設計工房は、耐震等級1(法律上最低限の強度)から耐震等級3まで対応しています。
依頼者の想いや予算、建てる場所に応じて耐震等級を依頼者と決定して設計をおこないます。

何度もお伝えしている通り、本来は構造計算をおこなった上で耐震等級3の建物が理想です。
これは絶対に変わりません。
しかし、耐震等級3の建物以外は家じゃないとい言うほど過激な事も言いたくないのです。
そこには必ずその家族がいてその家族の価値観がありますのでその考えを尊重したいと思っています。
耐震等級1を耐震等級3にするには追加で150万から300万程度追加で費用が掛かります。
最大で300万程度の金額を家価格全体のたった数パーセントなのかさらに数パーセントなのかは人によって本当に感じ方は違う思います。
ちなみに、僕個人の感覚としては、「さらに数パーセントかぁ」と感じてしまうかもしれません。
おそらく構造設計で耐震等級3を普及している他の建築の先生方が聞いたら怒られます(笑)
ですがこれが僕の想いです。

なんとなく構造を作るのではなく、必ず計算をおこない法律の求めている地震に対する強さを確保できている事を確かめる。
そして必要に応じて建物を補強して、耐震等級3を目指していくこれが家づくりの構造において最適解だと僕は思います。

構造は予算と直結します。
自分たちが心地よく家族で暮らしていくためにはどこに予算を使う事が一番理想なのかこの考えが家づくりにおいて一番大切です。
それを理解した上で家族の理想の家を作ってもらいたいと思います。

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