
ハウスメーカーや工務店のパンフレットを見てみると【長期優良住宅対応】や【長期優良住宅仕様】と書いてあったりもしくは、家の仕様書に書いてあるかもしれません。
長期優良住宅は一昔前に流行った家の造り方の指針で国が推し進めた事業と言う事があって数年にわたってかなり高額な補助金がもらえることから各社がこぞって導入した経緯があります。
今は長期優良住宅だから補助金を貰えるという事はありませんが、補助金の増額など少なからずメリットも存在します。
今回はそんな長期優良住宅のメリット・デメリットと長期優良住宅がどんな家なのかをご紹介していきたいと思います。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅はその名前の通り『長期にわたり良好な状態で住み続ける為の借置が講じられた高性能住宅』の事をいい、国が定めた認定基準を満たし行政の認定を受けた住宅のことです。
認定を受けるためにはいくつかの基準のクリアが必須です。
認定を受ける為の基準
- 耐震性・・・・・・・・耐震等級3の構造にすること。
- 省エネルギー性・・・・断熱性能UA値0.6以上、一次エネルギー消費量等級6
- 維持管理の容易性・・・構造に影響なく設備が更新できること。
- 劣化対策・・・・・・・腐食しづらい材料を使ってること、点検できる開口を作ること。
- 家の面積・・・・・・・75㎡以上の面積が確保されていること。
- 維持保全管理・・・・・将来のメンテナンスの為に計画がなされているか
- 住宅履歴の保存・・・・維持保全に関する記録を作成し、のこっていること。
大きくはこの7つの基準を守る事が必要です。
1~5に関してはハウスメーカーや工務店が勝手に作ってくれるので大丈夫ですが厄介なのが6.7.の項目です。
これについてはのちほど触れたいと思います。
長期優良住宅のメリット
メリット① 住宅ローン控除
所得税の住宅ローン控除が特にお得になる点です。
具体的には、通常よりも控除額が増えるケースが多く、これが年間で数十万円程度の税金削減につながる可能性があります。
つまり、長期優良住宅を選ぶだけで、毎年の税金がぐっと軽くなるのです。
この優遇措置は、新居購入時の負担をかなり和らげてくれます。
メリット② 不動産取得税の控除
長期優良住宅は不動産を購入した際にかかる不動産の取得税の控除額は、長期優良住宅が1.300万円まで。
一般住宅の場合1.200万円までです。
メリット③ 登記費用の減額
所有権保存登記0.1%、所有権移転登記0.2%(一戸建て)となっておりそれぞれ減税措置が受けられます。
ちなみに、一般住宅だと所有権保存登記0.15%、所有権移転登記0.3%になります。
メリット④ 固定資産税の減額
一般住宅は新築住宅を購入すると、一戸建てで3年間固定資産税が1/2に減税されます。
長期優良住宅なら一戸建てで5年間に延長されます。
ただ、住宅面積が50㎡以上280㎡以下、居住部分が全体の1/2以上などの規定はありますので、詳しい条件は手続き先の市町村に事前に確認しておきましょう。
メリット⑤ 地震保険の割引
これに関しては長期優良住宅だからというわけではありませんが、長期優良住宅で耐震等級3が認定される為、地震保険の割引が適用されます。
おおよそ20%~30%程度の割引が受けられます。
長期優良住宅のデメリット
デメリット① 申請手数料
長期優良住宅には申請が必要で手数料が発生しますがこの申請の手数料はだいたいが4万円程度です。
申請を出し審査を受ける為には多くの申請書類が必要でその申請書類を作成するのに多くの費用が発生します。
デメリット② 初期費用が高い
長期優良住宅にする為には認定基準をクリアするために様々な仕様変更が必要になるケースがあります。一般的な家づくりをしている家と長期優良住宅だと体感300万円程度違うと思います。【長期優良住宅仕様】と謳っている工務店などはそこまで多額の追加にならないもしくは追加の仕様変更は必要ないケースもあります。
デメリット③ 定期点検が必要
長期優良住宅では家を維持する為に計画的に家を点検し、メンテナンスする時期とその為の積み立て金が必要になります。
先ほど、長期優良住宅とは?の6.維持管理 7.住宅履歴の保存がここでネックになってくるわけです。
この項目に関してはほとんどの場合、ハウスメーカーや工務店は自社の保証期間内だけの点検はしますが積極的に面倒を見てくれず、自身で依頼していかないといけません。
【何年かに一度の点検の依頼】【修理してもらった箇所の図面と内容の管理】をその家に住んでる間ずっと続けていかないといけません。
長期優良住宅に対する見解
有村建築設計工房として長期優良住宅の見解としては、長期優良住宅は必要ありません。
長期優良住宅の代わりになる認定はたくさんあります。
耐震等級3であれあば【フラット35】【住宅性能評価】
省エネルギー性ではれば【フラット35】【住宅性能評価】【低炭素住宅認定】【性能向上計画認定】【BELS】※1
など多くの制度があり必ずしも長期優良住宅認定が必要な訳ではありません。
この話をすると必ず「劣化等級が」と「メンテナンス性が」などと言う人もいますがそもそも6.維持管理 7.住宅履歴の保存の項目を一般の住んでる人に管理を一任している時点でこの制度はほぼ機能していないのです。
350棟以上の物件に関わってきた物件の中にもちろん長期優良住宅で建てた家もありますが、長期優良住宅の計画通りに管理されている物件は一件もありませんでした。
そういう意味でも長期優良住宅の認定を取るよりその金額を使って少しでも家の方に予算を回した方がよほどいい家になると思います。
先にも述べましたが、長期優良住宅の認定を受けたからもらえる補助金はありません。
補助金の増額はありますがせいぜい20万円の増額です。
その為に家の為にずっと厳格なメンテナンス管理コストを払うのはコストパフォーマンスがとても低いという事です。
最後に
長期優良住宅につてい今回はまとめてみました。
長期優良住宅は出た当時は多くの補助金が出ており、補助金獲得の手段としてはとても優秀でしたが、補助金の無くなった今、メリットは減税の事ばかりです。
しかし、その前に多くの初期費用をオプションとして支払っているのでこれもあまり意味はなく長期優良住宅と銘打っていますが肝心の維持管理については形骸化してしまっているので長期優良住宅が目指す100年持つ住宅は意味をなしていません。
いい家づくりをするには自分で勉強をしつくすか、ちゃんとした知識のある人に伴走してもらいながら家づくりをするしかありません。
有村建築設計工房では認定住宅をはじめ多くの家づくりを経験してきた建築家が自ら設計し提案をおこなっています。
家の補助金のこと、認定のこと、維持管理のことなどで不安があればぜひ有村建築設計工房にご相談ください。