
後、3カ月足らずで建築基準法の改正が行われます。
改正内容の詳しくは以前ブログでまとめた、2025年の法改正と 消費者はどうかわるのか?って話。こちらをご覧ください。
さて、第一回目は基礎について。
ただ、事実をつらつらとまとめた専門的な話です。
建築基準法施行令第3章第3節「木造」第38条 基礎
基礎は上記の通りこちらに基礎に対しての仕様規定が示されています。
出だしだけ引用させて頂くと、
第三十八条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。(1項)
から始まります。
ここで謳われるのは基礎の基本的なルールです。
その他2項以降がどのようなことが書いてあるかざっくりまとめると以下の通りになります。
2項 基礎は異なる構造の基礎を同時使用の禁止。
3項 基礎は国土交通省の定めた仕様と地盤の強さで作ること、地盤の強さが規定値以下の場合は地盤補強をすること
4項 2項の内容は国土交通省が認めた構造計算をして、安全であることが確認出来たら不問にする。
以降5項6項は特殊ルールと続きます。
木造住宅で主に重要なのはこの1項~4項の内容です。
これは原則必ず守らなければいけないルールになっています。
これを満たせていない住宅は建築基準法違反物件に該当します。
でも、ここには具体的にどのようにしなければいけないのか書かれているのは2項と4項だけで、3項は国土交通省の決めた仕様にしてねとざっくりな文章です。
これは、僕の書き方の問題ではなくて、本当の文章を読んでも長いだけで要は国土交通省の仕様で作ってねとしかいてないです。
ここが法律の面倒くさいところですよね。。。。
では、3項に出てくる国土交通省の仕様がどこにあるのかというと次に続きます。
平成12年建設省告示第1347号第1
ここでは建築基準法施行令 第38条第3項に出てくる国土交通省の定める仕様についてみていきます。
建設省告示と出ていますが、これは国土交通省の前進に当たる省庁で建設省の発行した告示は国土交通省の告示ということになります。
告示のはじまりはこうなっています。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第三十八条第三項及び第四項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。
難しいですよね。
要は、建築基準法施行令第38条第3項と第4項の国土交通省の仕様を守ってほしい内容はここに書いているよということです。
ちなみに平成12年建設省告示第1347号第1となっていますが、第1が第3項の基礎の仕様のこと、第2が第4項の基礎の構造計算につてい書かれています。
第一 建築基準法施行令(以下「令」という。)第三十八条第三項に規定する建築物の基礎の構造は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。)が一平方メートルにつき二十キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、一平方メートルにつき二十キロニュートン以上三十キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、一平方メートルにつき三十キロニュートン以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。(1項)
と書かれています。
はい、漢字とカタカナとひらがなのハイブリッドで読みにくいことこの上ないですね。
解説としてはこうです。
基礎を作る地盤が20 kN/m2 未満の場合:基礎ぐいを用いた構造に
基礎を作る地盤が20kN以上30kN未満なら:基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎に
基礎を作る地盤が30kN以上なら基礎杭を用いた構造にするか、べた基礎にするか、布基礎に。
ということです。
ちなみに基礎ぐいは地盤改良のことですよ。
家を建てる場合に必ず地盤調査をする必要があります。
その中で地盤改良が必要になってしまいましたー!という根拠がここの地盤が○○kN未満以上ならという文面です。
ここで読む通り、地盤の強さによって基礎の形状は自由に選べるんですよね。
材料費で言えばべた基礎より布基礎の方が圧倒的安いです。
なのに、ほとんどの会社はべた基礎しか作れない。
これはなぜなのか。。。。。
その他ここには基礎の適用外範囲などが書かれていますが、ここで触れてもあまり意味がないので割愛します。
2項は基礎ぐいの構造安全上のことが書かれています。
3項 建築物の基礎をべた基礎とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。
ここでべた基礎を作る場合の仕様が出てきます。それぞれをの条文を書き上げていくと量が多くなるのでここでも簡単にまとめたいと思います。
詳しくは条文から検索してみてください。
1号 一体の鉄筋コンクリート造とすること。
2号 べた基礎を使う構造の記載の為省略。
3号 基礎の立ち上がり高さは地盤から30cm以上、基礎の立ち上がりの幅は12cm以上、基礎の底板の厚みは12cm以上とすること。
4号 根入れの深さは、(中略)12cm以上とし、かつ、凍結深度よりも深いものとすることその他凍上を防止するための有効な措置を講じること。
5号 鉄筋コンクリート造とする場合には、次に掲げる基準に適合したもの
イ 立上り部分の主筋として径12mm以上の異形鉄筋を、立上り部分の上端及び立上り部分の下部の底盤のそれぞれ1本以上配置し、かつ、補強筋と緊結したものとすること。
ロ 立上り部分の補強筋として径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置したものとすること。
ハ 底盤の補強筋として径9mm以上の鉄筋を縦横に30㎝以下の間隔で配置したものとすること。
ニ 換気口を設ける場合は、その周辺に径9mm以上の補強筋を配置すること。
これがべた基礎の仕様です。
2025年4月から施行される建築される物件はこちらの内容も審査の対象になるので注意が必要です。
注意と言っても今までは行政の審査がなくてもそれは建築士がこのルールを確認して守っているから大丈夫という前提でしたので慌てる必要はないと思います。
同業者で『やばい!』と思ったり、冷や冷やしている方は気を付けないといけないですよ。
4項 建築物の基礎を布基礎とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。
1号 前項各号(べた基礎について定めた第3項の各号。ただし、第5号ハは除く。)の規定によること。ただし、根入れ深さにあっては24cm以上と、底盤の厚さにあっては、15cm以上としなければならない。
2号 底盤の幅は、地盤の長期に生じる力に対する許容応力度及び建築物の種類に応じて定める数値(略)以上の数値とすること。
3号 鉄筋コンクリート造とする場合にあっては、前号(第二号のこと)の規定による 底盤の幅が24cmを超えるものとした場合には、底盤の補強筋として径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で配置し、底盤の両端部に配置した径9mm以上の鉄筋と緊結すること。
となっています。
ここもべた基礎の仕様を基準に布基礎専用の仕様があるので注意が必要です。
ちなみに種類に応じて定める数値は次の通りです。

以上が基礎の仕様規定になります。
このほか、構造計算につていも記載はありますが、そこは第2をぜひご覧ください。