2025年4月は建築基準法という法律が大きく変更が入る年になっています。
このことによって多くの建物が絡んでくるのですが多くは住宅などの小規模の建築物が関わってきます。
2025年4月以降に法律がどう変わるのか、変わったら家づくりがどのようになってしまうのかこのブログを読んだら分かるようにまとめていきたいと思います。
どうぞ最後までごゆっくりご覧ください。
2025年4月から変わる内容
1. 建築確認・検査、審査省略制度の対象範囲が変わる
今までは木造2階建ての住宅規模の建築物（建築基準法第6条4号）は建築基準法第6条の4という法律の中で、建築物は建築士が設計をした場合は構造の審査を省略してもいいですというルールがありましたが、これが審査を省略する範囲を縮小するという話です。
2025年4月からは木造2階建ての家は建築基準法第6条の4のルールから外して構造の審査を受けなければならなくなり、平屋建て200㎡以下の住宅は建築基準法第6条の4のルールを使って今まで通り建築士が設計したら構造の審査を省略しますという形に変わります。
2. 確認申請の際に提出する書類が増えます。
先ほどの審査省略制度の範囲が変わる事によって2階建ての木造住宅を建てようとした場合、確認申請に提出する書類が増えることになりました。
増える書類とは「構造関係規定等の図書」と「省エネ関連の図書」です。
これまでは、木造住宅以外の建物は提出が義務づけられていたのですが先に説明させて頂いた省略ルールから2階建ての住宅が外れた為、新しく追加になる形となりました。
3. この法改正が2025年4月から施行予定になっている。
この法改正は2025年4月から効力を発揮する予定になっており、2024年末から家づくりを始める方はこの法改正が絡んでくるので注意が必要です。
今回の法改正は家を建てる人たちには良い改正になる
全ては4号特例のグレーゾーンが原因
今まで、木造住宅程度の小規模の建築物は4号特例で構造、省エネで行政からの審査を受けずに建ってきました。
法律には確かに【建築士が設計した建築物は構造について審査を省略できる】ことが記載されています。
もっと読み解くとこのルールは【建築士が建築基準法の構造についてしっかり理解して、設計が行われているはずだから審査は省略していいよ】という意味になります。
この構造についてしっかり理解して、設計が行われているはずだからが完全に抜け落ちている設計者が非常に多いという現実があります。
特にハウスメーカーや工務店はこの傾向がとても強く理解している人は社内でも半分もいないもしくは全くいない可能性もあるくらいひどい状態で運用され続けていたのです。
審査を受けないから書類を作らなくていい→書類を作らないから構造の検討はしていない→知識が希薄になっていき構造が法律通りできていないか分からないまま家づくりが始まってしまいます。
この話をすると「壁量検討をしているから大丈夫」という設計者もいるのですが、壁量検討だけでは構造のチェックは不十分です。
建築基準法で構造の確認をおこなうのは構造の仕様規定と壁量検討又は許容応力度計算による検討がありこのどちらからで確認をおこなうのですが、壁量検討をしていても構造の仕様規定の確認はおこなわれていないのです。
※仕様規定には使う材料の種類やサイズの決め方、使い方が記載されています。
このようなことから建築の有識者や構造に重きをおいてきた建築士たちは4号特例の撤廃を願ってきてようやく一部ですが範囲縮小することができました。
家を建てる方も今後2階建て以上の家を建てる時には行政機関がしっかり構造の法律をチェックしてくれた家に住むことができるので安心にもつながります。
法改正後には家を建てる人は何が変わる？
まだ法令が施行前なので必ず変わるとは言えませんが、変わる可能性のある内容を予測していきたいと思います。
1. 確認審査手数料が増える可能性
これまでの審査内容に加えて新しく構造、省エネの審査も確認審査でおこなわなくって来るので作業量が増えることが想像できます。
その為、一件あたりの審査料が増える可能性があります。
とはいえ審査手数料は今でも数万円程度なので増えても数千円程度であろうと予想しています。
2. 工事着工までの期間が長くなる可能性
設計側もこれまで審査に使用していなかった書類を作成しないといけなくなるので今までの申請書を作成して審査に入ってもらうまでに時間がかかることが予想されます。
まだ、行政機関がどこまでの書類を求めてくるのかも分かっていないので現在も構造をきちんと設計をされてきた会社でもどうなるかはまだ未知数です。
3. 設計手数料が増える可能性
これまで構造の検討を慣例でやっていたり、していなかった会社は設計者の業務量の増加で設計料の値上げが発生する可能性があります。
しかし、値上げする会社のほとんどはこれまで構造の確認をしていなかった可能性もあるので家を建てる人からするといい判断材料の一つになるかもしれません。
有村建築設計工房では構造は許容応力度で検討して、省エネ計算もおこなっているため今のところ設計料の値上げを考えておりません。
構造の等級が欲しいや省エネの認定が欲しい場合はこれまで通り審査手続き手数料を頂く形で進めていきたいと考えております。
確認申請にはこれまで通り許容応力度検討をしたうえで、申請に必要な壁量検討+構造の仕様規定で提出したいと考えています。
最後に
今回は来年2025年4月から改正される法令について解説とどのような影響がでるかについてまとめさせていただきました。
今までの木造住宅は構造に対して言葉を選ばずに申し上げると「テキトウ」が当てはまるような状態でしたが、2階建てだけでもこのようにきちんと審査をされ正されるようになったことはとてもいいことだと思っています。
今年初めにも大きな震災が発生して新しい基準で建った家ですら倒壊している物がありました。
その建物の構造はどうだったのでしょうか。
壊れた今では確認しようがありませんが、先に触れたようなグレーな状態で無かったことを祈るばかりです。
有村建築設計工房では許容応力度計算と省エネ計算を標準でおこなっております。
住宅は耐震性がきちんと確保され断熱性能が高いのが当たり前なのでそこを数字をみてしっかりと設計させて頂いております。
鹿児島で一番いい家を建てたいという方はぜひ有村建築設計工房にご相談ください。
有村建築設計工房では、鹿児島市、姶良市、霧島市を中心に鹿児島県全域、宮崎県、熊本県も対応しております。条件付きですが九州、全国の対応もさせて頂いておりますのでぜひご相談ください！