
こんにちは。
有村建築設計工房の有村です。
『工務店て品質悪いんじゃない?』『工務店は話を聞いてくれなさそう』
最近このような質問をされることがありました。
結論から言いますと、そんなことはなくて家を建ててもらうなら絶対に工務店がいいです!
ただし、癖が強い人たちが多いので工務店選びは要注意といった感じです。
もちろん組織によっては、質問された通りに品質や技術が家づくりをしていいレベルでない工務店があるのも確かですが、それは工務店に限らずハウスメーカーや設計事務所にも言えることなので工務店かどうかは関係ありません。
では、なぜ僕が家を建ててもらうなら絶対工務店がいいのか解説したいと思います。
と、その前にハウスメーカーと工務店の家づくりの違いも軽く確認しておきます。
工務店の家づくり
工務店の家づくりはなんといってもその技術力です。
工務店は元々職人さんたちの集まりだった会社も多くて、様々な物の作り方の知識を持っていることが多いです。
工務店と仕事をしていると14年以上建築設計をしている身でも知らない情報をたくさん頂けてとても勉強になるくらいです。
最近の構造は事前に計算をした上で高い耐震力を可能としていますが、昔はそのような計算無しに耐震力を確保していました。
大工さんなどの職人さんならみんな知っているんじゃないの?と思う方もいると思います。
しかし、この手の技術は長い間師匠から弟子へと受け継がれてきた技術で、あくまでも口伝レベル。
なぜそう作ったら強くなるのか考えることができるレベルの現場監督がいないと成り立ちません。
現状そのようなレベルの知識を持った現場監督がいるのは、僕の知る限り工務店や建設会社くらいしか知りません。
ちなみに工務店と建設会社に大きな違いはありませんので、今回は建設会社も工務店に含めてお話していきます。
ハウスメーカーの家づくり
ハウスメーカーの家づくりといえばやはり品質確保のしやすさです。
標準仕様を準備して、その中で家に使う材料を選定していくので、家が完成するまでのスピードも魅力的です。
早い会社は契約から半年後には家が完成しているなんてケースも見受けられます。
同じ材料を使って工事を進めていくので、建築の知識が最低限あれば誰でも工事の現場監督ができるので、人員が豊富なのも工事が早い要因だと思います。
標準仕様も世間のニーズを汲み取ったはやりの設備や建材を取り揃えているので、流行に置いていかれた家づくりにならないのもメリットになります。
以上が、工務店とハウスメーカーの家づくりの違いです。
工務店はその技術力、ハウスメーカーは標準化を図った品質力で大きくは差別化できます。
多くの人は目に見えない技術力より、使える最先端の仕様に目が向きがちなのは、知識のない一般の人からしたら当然のことだと思います。
しかし、技術力はその家の根幹に関わる部分です。
この一見地味ですが、とても重要な技術力があるからこそ僕は、家を建てるなら工務店をおススメしています。
柔軟な工務店と頑固なハウスメーカー
これは、どちらの会社にも在籍していたことがある僕だから思う部分かもしれませんが、工務店は柔軟、ハウスメーカーは頑固なイメージがあります。
ハウスメーカーが頑固はもしかしたら表現が違うかもしれなかったらすいません。
工務店が柔軟と思う理由は、その技術力の高さからくる自信だと思っています。
依頼者がこのようなことをやりたい、この材料を使いたい、設計は別の会社にお願いしたいなどどのようなお願いも実現できる範囲で柔軟に対応してもらえます。
それは、自分たちがおこなったことのない工事だったとしてもです。
実際、設計事務所に家づくりのご依頼を頂いた方が家を実際に工事できるのもこの工務店の柔軟性のある対応のおかげなんです。
こちらのデザイン設計した建物。
作ったこともないはずなのに、最初こそ文句を言われ大ブーイングをもらうこともあります(笑)
でも、なんだかんだと最後はキチンと形にしてくれる工務店の職人さんたちが僕は大好きです
ほんとにいつもありがとうございます。
一方ハウスメーカーが頑固に思う理由は、標準仕様へのこだわりの強さです。
これは、もしかしたらハウスメーカーというよりは担当した担当者やその担当者の上司の知識レベルによるところも多いかもしれません。
依頼者からこのように作りたいという要望があったとしても、物によってはできませんと言われるケースがよくあります。
ちなみに僕はハウスメーカー在籍時代なんどかお伝えしたことがあります。
施工図を書いて、上司に直談判しても要望を実現できなくて、ダメだったときにハウスメーカーを退職しようと決意したことは、今でも覚えています。
おそらくこれは標準仕様化の弊害です。
先にハウスメーカーの家づくりでお伝えしましたが、標準化をすることで最低限の知識を持っていたら誰でも家づくりが可能となりましたが、逆に言うと同じ材料、同じ作り方をしているので他を知らず、仕事以外で自分から学びにいかないと知識が身につかないのです。
ハウスメーカーが設計事務所の仕事の依頼を受けないのも上記の理由からです。
設計事務所のアイディアを形にする技術者が圧倒的に少なく、設計事務所もそれを知っているのでハウスメーカーから設計依頼が来ない限りは、設計事務所で設計した建物をハウスメーカーに依頼することはほぼありません。
中には建築家と一緒に家づくりができるというハウスメーカーもありますが、あれはどちらかというとデザインを建築家に依頼して、中身はハウスメーカーと同じなので専門のデザイナーが家をデザインしてくれるから垢抜け家が作れるというだけの違いしかありません。
工務店のデメリット
とここまで工務店のいいことばかり書いてきましたが、残念ならがもちろんデメリットも存在しますのでそちらもご紹介します。
・いい工務店と出会うのが実は一番難しい
これ死活問題なのですが、いい工務店と出会うのってめちゃくちゃ難しいです。
設計事務所ですらいい工務店と巡り合えるのは難しいので一般の方からしたらさらに難しいと思います。
なぜ難しいのかというと、いい工務店なほど広告宣伝をしてないからです。
これだけ技術力が高いとどこからでも仕事は来るでしょうから広告する必要性がありません。
広告を出さないとなると必然的に目につかなくなります。
この手の工務店はHPを持っていないのもざらです。
・コミュニケーションが難しい
いい工務店と仮に出会えたとしてもコミュニケーションが難しい場合があります。
職人気質な人が多く、ハウスメーカーのように営業さんという方がいないことが多いのも工務店の特徴です。
確かな技術力は持っているし、いいものを作るんだけど話の内容が専門的すぎて理解できなかったというのはよくあります。
年に数回ですが、そのような相談がうちの事務所にも相談が来るくらいです(笑)
そういう時は、間に入ってかみ砕いて説明をすると依頼者の方は納得されています。
・設計からお願いするとちょっとダサい場合がある
これも昔からの職人気質な部分が影響しているのかもしれませんが、工務店の設計する家はなんかちょっとダサいことが多いです(笑)
現代風と違って一昔前の家という印象でしょうか。
工務店の中では、ハイセンスなデザインの家を作っている会社もありますが、少しハウスメーカーの毛色がある会社もあるのでそこは要確認ですね。
デメリットとしてはこのようなところでしょうか。
ほとんどは、依頼者の頑張りでなんとかなりそうですが相当な努力と根気が必要になると思います。
最強の組み合わせ:設計事務所+工務店の家づくり
依頼者だけでも頑張れば工務店のデメリットはデメリットではなくすることができますが、普段のお仕事や家事育児などそのように家のことばかり考えていられる時間は少ないと思います。
そんな時にお役に立てれるのが設計事務所です。
工務店のデメリット
・いい工務店と出会うのが実は一番難しい
設計事務所は横のつながりで多くの施工会社や設計事務所とつながっています。
この工務店はよかったや、この作り方をするならこの職人を抱えた工務店がいいよなど情報が入り込んでいきますので、自分たちの作りたい家に合う工務店と出会いやすくなります。
工務店探しを設計事務所が代わりに行うのでその時間も節約できます。
・コミュニケーションが難しい
現場とのやり取りは全部設計事務所がおこないますので、専門用語がわからない、現場に行っても作り方が正しいのか正しくないのかわからないなど設計事務所が依頼者の代わりに行い報告します。
また、第三者として設計事務所が目を光らせるので更なる品質向上にもつながります。
下手なことをしたら設計事務所から不備の修正依頼が来るのでそんなことをしたらただただ工務店の損失になってしまいますので、誠実に対応してもらいやすくなります。
まぁ、下手なことをする工務店さんがそもそも少ないのでそこまで心配する必要はありませんが、抑止力にはなりますね。
・設計からお願いするとちょっとダサい場合がある
設計事務所に依頼される方の多くはそのデザイン力や知識を使って自分たちの唯一の家を作ってもらうことだと思いますので、設計事務所に依頼することで少しダサい家になることはなくなります。
このように設計事務所は工務店のデメリットを帳消しにすることができ、それに加えて第三者として品質確保や工務店と設計事務所のダブルチェック体制により、さらにいい家に磨き上げていくことができます。
有村建築設計工房はもちろん工務店との家づくり
有村建築設計工房ももちろん設計した建物の工事依頼をするのは工務店になります。
今まで、新築やリノベーションの設計デザインをして施工をお願いしているのも工務店と建設会社です。
先ほどもお伝えしましたが工務店と建設会社はほぼ同じものだと考えてもらって差し支えありません。
中には工務店を謳ったり、建設会社を謳っている実質ハウスメーカーも増えてきました。
もし、自分たちで工務店を探して家づくりをしたいという方はご注意ください。
絶対にいい工務店といい家を建てたいという方は、ぜひ設計事務所に依頼をください。
有村建築設計工房はもちろん、設計事務所がともにいい工務店と手を組んで最高の家を作り上げることができます。
いつでもお気軽にご相談ください!!