
家の設計をお願いするとだいたいの場合、南側に大きな窓が設置されると思います。
なぜか?
南側に大きな窓を持っていくのは住環境上のセオリーだったからです。
古い時代から南に大きな窓を取ってきて部屋に明かりを取入れてきました。
そして、光が注がれる南の庭には大きな庭なんて誰もが憧れる一戸建ての風景じゃないでしょうか?
しかしそれは、近所どおしの距離感が近く、しっかりと人の視線が気にならないように計画されていたからこそなりたっていました。
現在の家の計画の方法で家を建てた人で多くの方が南側に大きな窓を作らなければよかったという意見を耳にします。
今回は、なぜそのようなことが起きるのか考えていきたいと思います。
南の窓で後悔した理由2選
まずは、なぜ南側に窓をつけて後悔しているのかを見ていきましょう。
1. 人の視線が気になる
まず上がるのが、人の視線が気になるという意見です。
南側に道路のある敷地はとても人気です。
なぜかというと、設計もしやすく、駐車場や庭の先にさらに道路もあるので太陽の光を遮る建物が離れて立っていて太陽光を存分に家に取り込むことができるからです。
しかし、それが大きな落とし穴だったりします。
それは道路の往来です。
道路があるという事はそこは車や人が通ります。
その時に道路から家の中が丸見えになってしまうのです。
もちろんそれでもかまわない!
という人もいるでしょうが、多くの場合知らない人から家の中をのぞかれるなんていい気持ちではないと思います。
結果として、南側の窓はカーテンが閉めっぱなしなんてことになってしまうのです。
どうでしょうか?
あなたが住んでいる地域を歩いてみてください。
南側に道路のある家のカーテンは大々的に開いていますか?
2. 南の窓の先が壁
次によくあるのがせっかく大きく開けた窓の先に壁があったという件です。
住宅街ではよくある事です。
今回の場合は南は道路ではなく、お隣の敷地です。
これなら人の目が気にならなりません。
しかしそこにあるのは人の視線ではなく隣のおうちの外壁です。
しかも自分の家の南の窓から見える外壁ですから隣地側からすると北側の外壁であって多くの場合、コケが生えていたり、薄汚れていたりときれいな状態じゃありません。
又は、北側はゴミの仮置き場になっているなんてこともあります。
これではせっかく南側に大きな窓を開けたのに台無です。
かといってお隣の事なのできれいにしてくれとも言えず結局窓を閉めてしまっている家も多いのです。
セオリー通りに設計することの怖さ
どうでしょうか?
ここまでブログを読んで頂いて南側道路のある敷地に、南側に隣地がある敷地に家を建てたいと思いますか?
僕はこれだけ聞いたらこんな敷地買いたくないと思ってしまいます。
しかし、そんなことを考えていたら住みたい敷地なんて見つかるわけありません。
ではどうしたらいいのかというと、しっかりと事前計画をすることが大切です。
確かに、南に大きな窓を設けるのは建築のセオリーでいけば間違いありません。
しかし、敷地の状況、環境というのは似たものがあっても同じものというのは一件もありません。
ただ、同じセオリーを盲信して考えていくのは良くありません。
例えば南側に大きな窓を放棄するなんてことも一つの手段です。
大きな窓ではなく人の視線の気にならないところに小さな採光用の窓をける。
例えば、南側の大きな窓を諦めたくない、でも目隠しフェンスはただの壁でいやだとなれば
フェンスは止めて樹木で目隠しの代わりにする。
ロの字型の家にして、真ん中に中庭を作るなんてのも手ですね。
これらは全て初期計画からしっかり練らないと実現することは難しいです。
鹿児島は景観の宝庫。南を手放して分かる他の景観
南に大きな窓をこだわっているとせっかくいい景色があるのに見落としてしまう事がよくあります。
鹿児島の住宅街とかを見ていてももったいないなと思う家はたくさんあります。
一度南側に大きな窓のこだわりを捨てて周りを見回してみたらたくさんの景色に気づかされると思います。
桜島が見える場所は皆さん南を忘れて桜島の景観を優先してもらえるのですがそれ以外にもいい景色というのはたくさんあります。
例えば薩摩富士と呼ばれる開聞岳、霧島連山、錦江湾、夕日の沈む東シナ海、太陽の昇る太平洋など見渡したらいい景色がたくさんあるのでそちらを大きく切り取るのも一つの選択肢です。
それ以外にも鹿児島市の高台だと、西陵から見下ろす住宅街などもいいですね。
敷地の真ん中に立って自分がどの眺めが好きかを改めて感じてみてください。
固定概念を捨てたらまた新しい物に気づけるはずです。
最後に
今回は南側に大きな窓は必要なのかを考えてみました。
結論は、南側に大きな窓はあるに越したことはないが生活が豊かにならないならいらない!という事です。
どうしても必要!という場合はしっかりと計画をしてどうしたら自分たちが生活に制限がかかることなく豊かに暮らせるか計画することが大切です。
もし、窓が南側に大きな窓が必要か迷ったら、一度、固定概念を捨てて改めて家を建てたい敷地の中心に立って周りを見渡してみてはいかがでしょうか?
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