価格高騰の時代だから住宅取得を諦めるのか?

ここ数年で日本の状況はガラッと変わったと思います。
新型コロナと言う未知のウイルスとの戦いで働き方や流通で大きな打撃がありました。

その他にも世界情勢の悪化でのエネルギー価格の高騰や連鎖的な関連商品の上昇。
日本と世界の金利差を受けての円高にシフトし、輸入頼りな商品は次々に値上げの判断をされていきました。

これは、建築の世界でも同じです。

荷物を運ぶエネルギーが高騰し、工事に使う資材の原材料や商品が輸入品で高騰、住宅では木造が多くの割合を占めますがその木自体も輸入に頼っており高騰しておりここ数年の中で一番高くなってきています。

願わくは少しでも価格が安くなって欲しいと感じますが、一度値上がりしてしまった商品は2度と値上がり前の価格に戻る事はありません。

時代の流れでどこかでピークを迎え高止まりし、そこで安定して高止まりした価格が今後の住宅価格の目安となっていくのです。

「こんなに高いなら家を建てる夢は断念しよう」そう思う人が出てきてもおかしくない状況です。
この思考では家を建てる事は出来なくなってしまいます。
こんな時だからこそ家への古い価値観を捨てて、新しい価値観を取り込み価格高騰に負けない家の考え方が必要だと考えています。

働き方では今まではみんな同じ事務所に出社して同じ場所で働くの一般的でしたがテレワークと言う新しい働き方が普及し事務所と家問わず働くことができるようになりましたし、女性の社会進出をすることで家事の流れも変化してきました。

買い物はスーパーへが当たり前でしたがここ数年で一気に宅配やデリバリー、ネット通販などが普及していきました。

常に世の中は出来なかったり、出来なくなったら新しい形に変化し対応してきました。

家にもまさに今その時が来ているんだと思います。

家のあり方の変革です。

日本の昔の家は和室があり、土間にはかまど、囲炉裏を囲ってみんなでご飯を食べていました。
このような生活を昭和の初期まで送っていたのです。

戦後、高度経済成長期を迎え多くの住宅を必要としました。
その中で、新しく家を建てる事が一種の日本人のステータスへと変化し部屋のあり方も和室から洋室へ土間のかまどからキッチンへと変化していきました。
そして、バブル期には広い庭付きの家にそれぞれの部屋のある今の形が確立していったのです。

そして今です。

僕が考える新しい家の形とは個室化されていった部屋の統合です。

例えば廊下とクローゼットは別々の部屋です。
これはどなたでも何となくわかる事だと思います。

そこを廊下兼クローゼットとして収納と通路を統合するのです。
そのように他の部屋も統合できる物は統合していきます。
書斎と寝室だったり、子供部屋とフリースペースだったり今まで別々に使っていたものを一つにすることで面積を節約し、小さいけど使いやすいく住みやすい家を実現していくのです。

家は大きければいいというものではありません。
そこに住まう家族が豊かに幸せに暮らせればそれが本当の家なんだと僕は思っています。

広い家でそれぞれに部屋があって、ご飯を食べる時はLDKに集まってくるけどそれ以外は自室で過ごして家族の会話はご飯の時だけ。
これはあくまでも僕の価値観ですが、これが幸せな家族の形だとはとても思えないのです。

先ほど比較的簡単に部屋の統合と書きましたがこれは簡単な事ではありません。
同じ部屋でも家族ごとに必要な機能が違います。
なので寝室と書斎を一緒にすると書きましたがこれは一例です。

本当に部屋を一緒にしていいのかは一つ一つ精査していく必要があります。
人に見られても大丈夫な場所、使い方が重なる場所、単純に見られたくない物、家族同士のプライバシーだって考えないといけません。

このような新しい事を新しい発想としてやっていけるのは自由に建物を考える事の出来る設計事務所ならではな視点だと思っています。
現に、僕の周りの設計事務所のほとんどはこの考え方に肯定的だったり、同じ想いを持たれてる方もいらっしゃいます。

今までの日本の家への価値観は広い家がすごくて小さい家は良くない。
広い部屋が立派で小さい部屋は良くない
そのような考えが根強くあったと思います。

小さい家だからこそ、小さい部屋だからこそ叶えれれるそのような新しい価値がさらに普及していき、誰でも家が建てれるそんな世の中になって言ってくれたらうれしく思います。

PAGE TOP